冷徹冷酷な極上イケメンは幼なじみを甘く激しく溺愛したい。
それは紛れもなく空音の声で。
あんなに泣いていたのに、その声は震えることなくはっきりと聞こえた。
俺のことが……大嫌い……。
空音は、そんなふうに思っていたのか?
「空音……やっぱり俺は迷惑だったのか。俺のことは嫌いだったのか」
さすがの俺も大嫌いと聞いてズカズカと教室に入って行けるわけもなく。
ショックを受けた。
幼なじみというレッテルをはられながらも偽装カップルとして仲良くしていた俺たち。
前より距離が縮まったと思ったのは俺だけだったのか。空音を好きな気持ちを持っているのは……俺だけだったのか。
少しでも期待していた俺が馬鹿みたいだ。
そっと手をドアから離し、教室から離れる。
ごめん……ごめんな、空音。
俺とずっと一緒で辛かっただろう?
だけどもう大丈夫だからな。
「俺が、俺が……悪かった……」
空音のことを想うとこんなにも苦しい。