冷徹冷酷な極上イケメンは幼なじみを甘く激しく溺愛したい。

伊織……?


本当に、本当にそれでいいの?


なんか伊織も苦しそう。咲坂さんだけじゃなくて伊織もなにか引っかかってるんじゃないの?


私だってそう。


自分のことで精一杯で、気持ちを伝えきれてない。このまま……咲坂さんとすれ違ったまま?


そんなの……ダメな気がする。



「私……ちょっと行ってくる!」


「空音!?」



私は勢いよく立ち上がると教室を出ていった咲坂さんを追いかけた。


伊織に名前を呼ばれたけど無視して教室を出る。



「どっちに行ったかな……」



キョロキョロと辺りを見渡し、咲坂さんが行きそうなところを考えながら走り出す。もう授業は終わったから帰っちゃったかな。


いや、でも……まだ帰ってないはず。


昇降口に行ってみよう。


今年の夏はよく走るなぁ。


この前も伊織と咲坂さんをみつけようと必死に走ったっけ。伊織と付き合うことができて、幸せいっぱいのはずなのに。
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