冷徹冷酷な極上イケメンは幼なじみを甘く激しく溺愛したい。
伊織の口から“幼なじみ”という言葉が出てきて思わず反応してしまった。
い、一応私たちも幼なじみなんだけどね……。
ちらっと隣を見てみるけど、伊織はいつもの無表情で立っていた。幼なじみって聞こえたから私のことを意識していると思ったのに……。
いや、伊織に限ってそんなことはないか。
「伊織くん、空音ー!早く入ってきなさい〜!お夕飯並べるの手伝って!」
お母さんの声にはっと我にかえる。
私ったら、一体何を考えていたの。伊織への気持ちは隠そうって決めたのに、これじゃあ欲の塊じゃない。
「はーい。今行く!伊織、行こ!」
「ああ。お邪魔します」
今はこのままでいいんだよ。
伊織は女子が苦手で、私は幼なじみだからそばにいられる。
この想いはまだ秘密にしておこう。
「お腹いっぱい!ご馳走様でした!」
「はい、お粗末さまでした」