冷徹冷酷な極上イケメンは幼なじみを甘く激しく溺愛したい。
伊織のファンには、こういう過激なファンもいたから。
「何するのはこっちのセリフよ!あの“冷徹冷酷な伊織さま”と何仲良くしてんのよ。みんなの王子様を独り占めすんな!」
「そうだよ!幼なじみだからってチョーシに乗るな!」
「きゃあああ!」
私の言葉にイラついたのか堰を切ったように溢れ出す悪口。
なんで……こんな目にあうの、私はただみんなと同じように伊織のことが好きなだけなのに……幼なじみなだけなのに……。
「なんとか言いなさいよ!」
一方的に攻撃をくらっていた私にとうとう痺れを切らしたのか、ギャルは大きく腕を振り上げた。
その時。
ーバンッ!
「そこまでだ」
ぎゅっと目をつむり、痛みを覚悟したその瞬間に、目の前には私の大好きな……伊織がいた。
なん……で。
その頼もしい姿に思わず涙が溢れそうになる。いったい何が起こったのか分からない状況の中、伊織の姿を見ただけで安心した。