冷徹冷酷な極上イケメンは幼なじみを甘く激しく溺愛したい。
声も出ない私に変わって目の前のギャルが怯えたようにつぶやく。
まさか……とみんないっせいにスマホに視線を向けた。
ーピコンっ。
『何するのはこっちのセリフよ!あの“冷徹冷酷な伊織さま”と何仲良くしてんのよ。みんなの王子様を独り占めすんな!』
伊織がボタンを押した。
すると会話が録音されていたのか先程ギャルが言っていた言葉が視聴覚室に流れる。
「な、や、やめて!」
「これ以上空音を苦しめるんだったらこれを学校側に提出してもよいが」
録音を聞いてサーッと顔色が悪くなるギャルたち。
私は怖くて、安心して、気持ちがぐちゃぐちゃだった。涙が止まらない。こんな思いをしたのは久しぶりかもしれない。
「だ、だって……その子が悪いのよ!」
「あ゙?」
「みんなの王子様の橘くんを独り占めするから!なんでこの子だけ特別なのよ!こんなの不公平じゃない!」