冷徹冷酷な極上イケメンは幼なじみを甘く激しく溺愛したい。
私は……伊織のことしか見てないんだから。このことを言いたいのに、言えない。
なんて、私は情けないんだろう……。
はぁ、と伊織に聞こえないように小さくため息をついた。
「うん。行こうか」
そのまま手をつなぎながらいつもと同じ通学路を歩いていく。モヤモヤした気持ちと嬉しい気持ちを抱えながら歩く通学路はとても長く感じた。
伊織に告白されてからのはじめての登校。
いったいどんな試練が待ち受けているのだろうか。不安と、期待で私の頭の中はいっぱいいっぱいだった……。
***
「ねぇ、見てよ。あそこのカップル、昨日校内放送で告ってたよね?」
「あ、知ってるー!超びっくりしたよね!まさかあの“冷徹冷酷な王子様”が彼女を作るなんて。ショックなんですけど!」
うっ……やっぱり注目されている……!
私は視線を感じて、背中を丸めてなるべく目立たないように道を進む。