冷徹冷酷な極上イケメンは幼なじみを甘く激しく溺愛したい。
こ、公認カップルって……なんか恥ずかしい……。
「それに……」
「伊織?」
ボソリとつぶやいた後、ふと歩く足を止める伊織。その仕草に首をかしげる。
「お前のことを独り占めできるから好都合だ」
「……っ、!」
顔が近いから耳元で聞こえる伊織の声に息が詰まる。ドキドキしすぎて上手く息を吸えない。
伊織は……こんなにも、私のことを大事に思ってくれているんだ。
「ま、そんなことだから。少しは我慢しろよ?」
私の反応を楽しんでいるのか、にやりと意地悪く笑う伊織。
そんなこと言われたら黙るしかないじゃん……。
***
ードキドキ……。
「い、いよいよ教室だね……」
学校につき、今は教室の前。あれから私は何も言わず、ただ黙々と歩いた。
伊織に繋がれた右手に、温もりを感じながら歩いた通学路は不思議なものだった。