冷徹冷酷な極上イケメンは幼なじみを甘く激しく溺愛したい。
廊下から、野次馬のような声がした。今日は1日注目されっぱなしで、同じような話し声が廊下から聞こえてくる。
それも、私に聞こえるようにわざと大きな声で。
実は瑠璃とか話していたお昼休みも話し声は聞こえていたんだけど、聞こえていない振りをした。
「えー、ショックなんだけど。てかさ、彼女って幼なじみなんでしょ?完全にズルでしょ。あの王子様が彼女つくるとか、絶対色目使ったんだよ」
……私、そんなふうに見えていたんだ。
伊織には釣り合っていないとわかっていたけどいざ直接聞くと思ったより心にダメージが……。
はぁ……。
「空音。ちょっとこい。準備は終わったな?」
「え?ちょ、どこ行くの!?」
伊織に気づかれないようにため息をついた後、急に手首をつかまれ、無理やり立ち上がらせる。
急だったので、荷物を掴んだまま、立ち上がってしまい、慌てる私。