ひなたのわたあめ

 綿名(わたな)からのシャーペンのお陰でなんとか1時間目を乗り越えられ、休み時間になった。


 今日は日直だから、毎授業後、黒板を消さなきゃいけない。


 自席から立って黒板の前へ行き、黒板消しで消しだしてすぐ、後ろから声をかけをかけられた。



 「日乃(ひの)!俺も手伝う!」



 綿名が笑顔でこちらにかけてくる。



 「え、いいの?ありがとう、助かる!」



 私がそう言うと、綿名はますます笑顔になった。



 綿名(わたな)の笑顔を見ていると、こっちまで笑顔になってしまう。



 「いつも黒板手伝ってくれるよね、なんで?」



 私は前々から気になっていたことを尋ねた。


 綿名は黒板から私のほうに視線を向け、



「俺が日乃(ひの)を手伝いたいから」



と屈託のない笑顔で言う。


照れもせずに、そんなことを言うから、こっちが少し恥ずかしくなってくる。



「そ、そっか」



私は、なんだか綿名の顔を見ていられなくなって、黒板に向かってそう返事をした。

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