ポケットにあの日をしまって
プロローグ
いつからだろう。

窓から見る風景がくすんで見えるようになったのは。

ふと、思い返してみる。

いつからだろう。

いつも僕の隣にいた君が、気だるそうな溜め息をつくようになったのは。

いつからだろう。

メールの返信が遅くなり始めたのは。

スマホのアルバムの中の君は、眩しいくらい生き生きとしているのに。

君とのメールのやり取りは、いつだって色んな君の感情で溢れているのに。

考えたくはないのに、何がいけなかったのかを考えてしまう。

もう、僕らはあの優しい日々には戻れないんだと実感してしまう。

面と向かって「バイバイ」と言い合わなくても、胸の奥の疼きが「バイバイ」なんだと、気づかせる。

君と過ごした日々のいくつもの思い出が、僕の頭の中にはたくさんあって、そのどれもが色鮮やかに思い浮かぶのに。
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