ポケットにあの日をしまって
4 ミサンガ
蒼司side 小鳥遊がいいんだ
「すみません。閉館の時間ですけど、どれか借りていかれますか?」
図書室カウンターに居た図書委員が、俺に話しかけた。
机の上を派手に散らかし、本の裏表紙を開いた俺を怪訝そうな顔でみつめていた。
「あ……と、悪い。ちょっと調べものをしていて。これ、借りていく」
俺は言いながら「流浪の月」を差し出した。
「散らかして……ごめん」
並べた本を閉じ、本棚に戻そうと抱えたが、「片づけておきますよ」と言われ、「申し訳ない」と頭を下げた。
小鳥遊が読んでいた本も、今の今まで気にも止めずにいたことが、ただ可笑しかった。
図書室を出て、話してみようかなとスマホを取り出した。
小鳥遊は目を細めクスッと笑って「今頃?」と返信してくるんだろうなと、様子を思い浮かべた。
「鈍いんだか、暢気なんだか……」
彼女はメールではなく、電話をかけてきた。
図書室カウンターに居た図書委員が、俺に話しかけた。
机の上を派手に散らかし、本の裏表紙を開いた俺を怪訝そうな顔でみつめていた。
「あ……と、悪い。ちょっと調べものをしていて。これ、借りていく」
俺は言いながら「流浪の月」を差し出した。
「散らかして……ごめん」
並べた本を閉じ、本棚に戻そうと抱えたが、「片づけておきますよ」と言われ、「申し訳ない」と頭を下げた。
小鳥遊が読んでいた本も、今の今まで気にも止めずにいたことが、ただ可笑しかった。
図書室を出て、話してみようかなとスマホを取り出した。
小鳥遊は目を細めクスッと笑って「今頃?」と返信してくるんだろうなと、様子を思い浮かべた。
「鈍いんだか、暢気なんだか……」
彼女はメールではなく、電話をかけてきた。