ポケットにあの日をしまって
1ヶ月、まるまる欠席での中間考査はキツイだろうなと思ったが、彼女はそれを尾首にも出さないほどあっけらかんとしていた。

「欠席中のノートとプリントのコピー」

友人たちから渡された授業ノートとプリントのコピーを受け取り「ありがとう」と笑顔で言った。

体育の時間、木陰で見学している小鳥遊の姿が見えた。

手持ち無沙汰なのか、背伸びしたり屈伸したりしながら時間をもて余している様子に、つい笑いが零れた。

1ヶ月も……何の病気だったんだ?

思いの外、元気そうに見える彼女の姿に安堵しながら、疑問は消えない。

「茉莉、一緒に帰ろう」

「ごめん、寄る所あるから」

彼女は友人からの下校の誘いを断り、足早に教室を出た。

俺も部室に、ユニフォームを取りに行った後、自転車に乗り、学校を出た。

入院している母を見舞うため、病院に向かった。
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