さようなら、初恋
俺の父さんと沙羅のお母さんが再婚をして、同い年の俺と沙羅が義理の姉弟になったのは、もう今から10年も前のお互い12歳の頃だった。

元々同じ町内で育った父さんと俺、そして沙羅のお母さんと沙羅。


詳しい事は教えてくれないけれど、どうやらシングルファーザーだった父さんがシングルマザーだった母さんに猛アタックして付き合う事になったらしい。
やるな、父さん。


そして、俺と沙羅が中学に上がるタイミングで二人は再婚をして、俺たちは『家族』になった。


母さんと沙羅は、正式に家族になる前からちょくちょく家に遊びに来ていて、良く美味しい料理やお菓子を作ってくれていた。


俺の本当のお母さんは俺が物心つく前に病気で死んでいて、それ以来お手伝いさんが料理や掃除、洗濯など家の事をしてくれていたけれど、一緒に食卓を囲む事はなかった。


仕事で忙しい父さんとも食事を一緒にする機会はなかなかなかった。


だから、母さんと沙羅が来て料理やお菓子を作ってくれる時は、テレビドラマで観るような温かな食事の時間を過ごせる事が何よりも嬉しかったんだ。
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