さようなら、初恋
最初は良かった。小・中・高・大学までエスカレーター式の、どこか閉鎖的な所謂金持ち学校に中学校から編入してきた大人しい沙羅は、一部の馬鹿な男どものからかいの対象にされた。


沙羅は俺や誰に相談するでもなく、唯一人じっとそれが収まるのを我慢していたようだけれど、偶然その現場に居合わせてしまった俺がぶち切れてしまって、沙羅を侮辱した男子生徒達をボコボコに殴った。


もちろん即刻先生にバレて、互いの両親が呼び出され、うちの父さんと母さんは俺が殴った男子生徒達の両親に平謝りを繰り返してばかりだった。


けれども、事態が収まった後、父さんは俺に小声でこっそり「よくやった」と言ってくれた。
嬉しかったし誇らしかった。


今思えば傲慢だけれど、その当時は、沙羅を守れた気がしていたんだ。
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