さようなら、初恋
そんな悠長な事をし続けて2年。
家族で行った俺と沙羅の20歳の記念ディナーの席で、父さんから爆弾が落とされた。
「沙羅と永井誠也さんの婚約が決まった。沙羅は大学卒業と同時に誠也さんと結婚する」と。
「は?」
頭が真っ白だ。何だよそれ。
「どういう事?沙羅が結婚って」
「柊も知ってるだろう?うちの会社が危なかった時がある事。その時に助けてくれたのが永井さんだって事も」
「あぁ。」
「その援助を申し出てくれた時に、沙羅が誠也君に見初められてな。お付き合いをしていたんだよ」
「ちょっと待てよ!そんなの沙羅からしたら断れないだろ!いつの時代だよ、人身御供じゃねぇかよ!?俺はそんな婚約も結婚も認めねぇ!」
「柊、落ち着いて?」
それまで黙っていた沙羅が、真っ直ぐに俺を見て、静かに口を開いた。
「私、無理矢理誠也さんとお付き合いしていた訳じゃないよ?だから、人身御供で婚約や結婚もする訳でもない。心配かけてごめんね?柊、ありがとう。あのね、柊は知らないと思うんだけど、私の前のお父さんって本当にどうしようもない人でね。仕事はしないわ、お昼からお酒ばっかり飲むわ、お母さんや私に手を上げるわ、で、お母さんは逃げるように前のお父さんと離婚をしたの。それからお母さんは働き詰めで私を育ててくれた。お父さんと結婚してからは、お父さんは私の事を本当の娘みたいに可愛がってくれた。裕福な学校に通わせてもらったり、何不自由ない生活をさせてもらってる。柊にも、私の方が少しだけお姉さんなのに沢山守ってもらったよね?私、この家族の皆が大好き。勿論、誠也さんも好き。だから、婚約して結婚するの」
沙羅は力強く言い切った。そこには、幼い頃母さんの背中から出てきた、か弱そうな女の子の面影は見受けられなかった。
何だよ、それ。家族として大好きって。
そんな事言われちゃ、俺は恋愛感情として沙羅の事が好きだなんて、言えないじゃないか…
沙羅のばか。
その日、俺の初恋は儚く散った。
家族で行った俺と沙羅の20歳の記念ディナーの席で、父さんから爆弾が落とされた。
「沙羅と永井誠也さんの婚約が決まった。沙羅は大学卒業と同時に誠也さんと結婚する」と。
「は?」
頭が真っ白だ。何だよそれ。
「どういう事?沙羅が結婚って」
「柊も知ってるだろう?うちの会社が危なかった時がある事。その時に助けてくれたのが永井さんだって事も」
「あぁ。」
「その援助を申し出てくれた時に、沙羅が誠也君に見初められてな。お付き合いをしていたんだよ」
「ちょっと待てよ!そんなの沙羅からしたら断れないだろ!いつの時代だよ、人身御供じゃねぇかよ!?俺はそんな婚約も結婚も認めねぇ!」
「柊、落ち着いて?」
それまで黙っていた沙羅が、真っ直ぐに俺を見て、静かに口を開いた。
「私、無理矢理誠也さんとお付き合いしていた訳じゃないよ?だから、人身御供で婚約や結婚もする訳でもない。心配かけてごめんね?柊、ありがとう。あのね、柊は知らないと思うんだけど、私の前のお父さんって本当にどうしようもない人でね。仕事はしないわ、お昼からお酒ばっかり飲むわ、お母さんや私に手を上げるわ、で、お母さんは逃げるように前のお父さんと離婚をしたの。それからお母さんは働き詰めで私を育ててくれた。お父さんと結婚してからは、お父さんは私の事を本当の娘みたいに可愛がってくれた。裕福な学校に通わせてもらったり、何不自由ない生活をさせてもらってる。柊にも、私の方が少しだけお姉さんなのに沢山守ってもらったよね?私、この家族の皆が大好き。勿論、誠也さんも好き。だから、婚約して結婚するの」
沙羅は力強く言い切った。そこには、幼い頃母さんの背中から出てきた、か弱そうな女の子の面影は見受けられなかった。
何だよ、それ。家族として大好きって。
そんな事言われちゃ、俺は恋愛感情として沙羅の事が好きだなんて、言えないじゃないか…
沙羅のばか。
その日、俺の初恋は儚く散った。