2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「デート用ね」

「デート用……」

今までの中で一番うきうきと杏華さんがメイクを始める。

「できた!
これなら準くん、メロメロでなんでも言うこと聞いてくれるわよ」

意味深に杏華さんが片目をつぶってみせる。
鏡に映る私は今までのメイクの中で、一番美しかった。

……これなら、部長も認めてくれるかも。

そんな期待が湧いてくる。

「あ、でも。
こんなに綺麗だと他の男が寄ってきて、準くんがヤキモチ妬くかもね」

想像しているのか、楽しそうに杏華さんが笑う。
部長がヤキモチ妬いてくれる……?
だったら凄く、嬉しいのに。

そのあと、杏華さんに服を押しつけられて着替えさせられた。

「この服は……?」

「んー、内緒」

またもや人差し指を唇に当て、うふふと杏華さんが笑う。
ここの姉弟は……って、杏華さんと部長は義理だから血筋のせいじゃないか。
杏華さんのは小さいお子さんがいるから、癖かもしれない。
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