2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「こっちのラックの服と、靴は買います。
あとはいいです」

と、部長が指した先には、ラックが二台と靴も十足ばかり並んでいた。

「富士野部長!
買いとか言われても、私そんなにお金は……!」

ちらりと見た値札には、勝負服でもなければ買わないような金額が書いてあった。
それを、しかもあんな枚数買えるわけがない。

「俺が買うんだからいいだろ」

「あっ……」

それ以上なにも言わせず、部長はさっさと会計をしてしまった。

「買ってもらう理由がありません」

店を出て少し前を歩く彼を追いながら、抗議する。

「投資」

「投資って、なんの!?」

「紀藤をいい女にするための投資」

「意味がわかりません!」

しかしいくら言ったところで部長にはまったく聞いていない。
そのうち、ぴたりと足を止めた彼は振り返り、私を見下ろした。
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