2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
姉の結婚式は祝福するかのように青空だった。
結婚式前、控え室では準備の済んだ姉と、花婿の裕司(ゆうじ)さんが談笑していた。
私に気づき、姉が微笑みかけてくる。

明日美(あすみ)

「お姉ちゃん、裕司さん、結婚、おめでとう」

「ありがとう、明日美」

ふわりと空気に融けるように、姉が笑う。
それは女の私でもぽーっとなりそうなほど美しかった。
裕司さんが私ではなく、姉を選んだのがよくわかる。

「裕司さん、お姉ちゃんをよろしくお願いします。
お姉ちゃん、こう見えてけっこう抜けてるから」

自分の気持ちなどおくびにも出さず、ふざけるように笑ってみせた。

「知ってる。
昨日も『充電器が刺さらないの』って、自分の携帯にオレの携帯の充電コード一生懸命挿そうとしてた。
端子が違うから無理なのにな」

思い出しているのか、おかしそうに裕司さんがくつくつと笑う。
私も一緒に、笑っておいた。

「もう、裕司さんったら!」

自分の失敗を晒されて、むくれる姉も大変愛らしい。
それも、私にはないものだ。

「でもこれで、明日美ちゃんはオレの義妹になるんだよな。
今まで以上に頼ってくれよな」
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