2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
並んで歯磨きをして顔を洗ったあとは、ダイニングテーブルで向かいあって勉強をする。

「今日はとりあえずこれ読んどけ」

富士野部長から渡されたのは、経済学の本だった。

「わかりました」

受け取ったものの、これがどう私が最高の女性になるために結びつくのかわからない。
なんの説明もないまま部長は私の前で、タブレットを見ている。

「ええっと、富士野部長?
これがどう、私の役に立つんですか?」

「いい女は中身もいい女に決まってんだろ。
紀藤は俺の指示に従ってればいいんだ。
つべこべ言わずにそれを読め」

タブレットに視線を向けたまま、邪険に彼が言い放つ。

「はぁ……」

納得はしてないが、これ以上聞いても無駄なので諦めた。
昨日も何度か同じように聞いたけれど、しつこく食い下がると最後には「キスするぞ」って脅される。
そうなれば、黙るしかないわけで。
そういう理由でどうして同じベッドなのか謎のままだ。
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