2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
朝食後、店が開くにはまだまだ早い時間に車で連れ出される。
着いたのは――ヘリポートだった。

「さっさと乗れ」

「あっ」

ぽけっとヘリコプターを見上げていたら、ぽーいっと中に放り込まれた。
高所恐怖症ではないが初めて乗るヘリコプターは落ち着かず、大人しくシートに座る。

「あの」

「なんだ?」

部長はヘリコプターに乗るのが日常茶飯事なのか、暇そうに外を見ていた。

「失礼を承知のうえでお尋ねしますが、……富士野部長の収入ってどうなってるんですか?」

父親が大企業のCEOだというのは聞いた。
しかしこの部長が、親から援助を受けているとかなさそうな気がする。
だとしたら収入はお給料になるのだが、何度も言うが我が社は二流企業なので、そこまで高給ではない。

「投資と不動産収入」

怒られるのも覚悟していたが、窓の外を見たまま普通に答えてくれた。

「不動産だけで会社からもらう給料以上の収入があるから働かなくてもいいんだが、今の会社を超一流企業に押し上げて社長になるっていう面白いゲー……」

そこまで言って部長は、誤魔化すように咳払いをした。

「……目標があるからな。
だから仕事を辞める気はない」

今、〝面白いゲーム〟って言いかけましたか?
そーかー、部長にとって仕事はゲームなのか。
やっぱり、部長の考えはさっぱりわからない。
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