2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
ひとしきり笑って気が済んだのか、裕司さんは私に優しく微笑みかけた。

「うん、頼りにしてる、お義兄ちゃん」

にっこりと笑顔を作って答える。
私の気持ちを姉に、彼に、気づかれてはいけない。

式の時間も近づいてきたので、姉たちと別れて礼拝堂の席に座る。
裕司さんは私が高校生のとき、家庭教師だった。
彼は私を妹のように可愛がってくれたし、もしかしたらって期待もした。
――けれど。

清恵(きよえ)さんって付き合ってる人、いるのかな?』

ふとした弾みで出た彼の言葉で、彼の目が姉に向いているのだと知った。

……ああ。
私は恋でも姉に、敵わないんだ。

ふたつ年上の姉は勉強もスポーツもできて器量もよく、みんなの憧れの的だ。
これでなにも欠点がないのなら、それが反対に欠点になって人から嫌われそうだが、適度に可愛らしく抜けている。
完璧なのにちょっとドジと、本当に完成された人間なのだ。
別に、そんな姉と比べられて親から冷遇されたとかはない。
姉も、両親も私を可愛がってくれた。
しかしいくら頑張っても姉には敵わないというのは、私のコンプレックスになった。

「……永遠の愛を誓いますか」

「はい」

真っ直ぐに前を見て、裕司さんが姉への永遠の愛を神に誓う。
もう、彼への未練を断ち切らなければいけないんだな。
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