2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
一緒に店を見てまわる。

「これとかいいんじゃないか?」

早速、部長が選んでくれた服は、スモーキーピンクのクラシカルなワンピースだった。

「可愛いですけど、これはちょっと」

「なんでだ?」

私に断られ、部長が若干不機嫌になる。

「こういうのは着ていくところがないので、箪笥の肥やしになるかと。
あと、このあいだたくさん服を買っていただいたので……」

茶色と黒の細いチェック模様のワンピースは私の好みだが、こういうセミフォーマルな服を着ていく場所の想定が私の生活の中ではできない。

「コンサートとかに着ていけばいいだろ」

「コンサート……」

コンサートにこんなお嬢様のような服を着ていったら浮くのでは……?
と思ったが、部長と私の想定が違うのだとすぐに気づいた。
私はアイドルのライブを想像したが、きっと部長の言うコンサートとはクラッシックだ。

「クラッシックのコンサートに行く機会なんて滅多にないので……」

「俺が。
連れていく。
だから買え。
というか俺が買うから着てみろ」

「あっ……」

反論する隙を与えず、部長が試着室に私を押し込む。

「強引……」

だけど、嫌じゃない。
それに今のところ、私が本当に嫌なことは強要されていなかった。

「どうです……?」

「次はこれだ」

一瞥だけして次の服が押しつけられる。
なんか一週間ほど前にも同じようなことがあった記憶があるんだけれど、……気のせいでしょうか。
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