2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
そのあともいつぞやのように何軒ものお店をはしごさせられた。

「投資はいいですが、こんなに買ってどうするんですか」

散々買い物をして気が済んだのか、ぷらぷら歩きながらアウトレットモールを出る。
全部送りにしたので実感はないが、どこのお店でも少なくて1ラックは買っていた。
かなりの数になっているはずだ。
このあいだだってしばらくは毎日違う服が着られそうってくらい、買ったのに。

「ん?
紀藤は可愛いから、つい買いたくなるんだよなー」

「……可愛い」

さらりと可愛いなんて言われて、ほのかに頬が熱くなっていく。
家族と裕司さん以外の男性に、可愛いなんて言われたのは初めてだ。

「私は可愛い、ですか?」

「紀藤は可愛いに決まってんだろ」

即答されたうえに、むにっと鼻を摘ままれた。

「痛いです……」

ヒリヒリと痛む鼻を私が押さえ、部長は笑っている。

「あとは化粧と髪型をどうにかすれば、見た目は最高になるけどな。
まあ、そっちも考えてあるから任せておけ」

自信満々に部長が頷く。
彼がそう言うのなら、なにか策があるのだろう。
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