2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
私の大学入学を待って、姉と裕司さんは付き合いはじめた。
実の兄のように慕いながら、自分の気持ちは隠す。
裕司さんを忘れようと努力はしたが、他の男性は好きになれなかった。
そのまま大学を卒業し、社会人二年目の春。
姉と裕司さんはとうとう、結婚した。
披露宴も終わり、ひとりで会場になったホテルを出る。
両親は今日くらい実家に帰ってはどうかと誘ってくれたが、ひとりになりたかった。
かといって自分のマンションの部屋でひとりきりになるのも嫌で、適当に飲めそうなイタリアンのお店に入った。
「紀藤さん?」
店員に席に案内される途中、声をかけられてそちらへ目を向ける。
そこには上司の富士野部長がいた。
「おひとりですか?」
「ええ、まあ」
曖昧な笑みで答える。
それでなにかを感じとったのか、彼は黒縁ハーフリムの眼鏡の下で僅かに眉を寄せた。
「よかったら一緒にどうですか?」
さりげなく、部長が席を勧めてくれる。
「ええっと……じゃあ」
上司から誘われると断りづらい。
それにひとり淋しく飲むと今日は悪酔いしそうな気がして、その誘いに乗った。
実の兄のように慕いながら、自分の気持ちは隠す。
裕司さんを忘れようと努力はしたが、他の男性は好きになれなかった。
そのまま大学を卒業し、社会人二年目の春。
姉と裕司さんはとうとう、結婚した。
披露宴も終わり、ひとりで会場になったホテルを出る。
両親は今日くらい実家に帰ってはどうかと誘ってくれたが、ひとりになりたかった。
かといって自分のマンションの部屋でひとりきりになるのも嫌で、適当に飲めそうなイタリアンのお店に入った。
「紀藤さん?」
店員に席に案内される途中、声をかけられてそちらへ目を向ける。
そこには上司の富士野部長がいた。
「おひとりですか?」
「ええ、まあ」
曖昧な笑みで答える。
それでなにかを感じとったのか、彼は黒縁ハーフリムの眼鏡の下で僅かに眉を寄せた。
「よかったら一緒にどうですか?」
さりげなく、部長が席を勧めてくれる。
「ええっと……じゃあ」
上司から誘われると断りづらい。
それにひとり淋しく飲むと今日は悪酔いしそうな気がして、その誘いに乗った。