2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「ねえ。
なんで女がいるの?」

私を見て、不快そうに彼女の美しい眉が寄る。

「そっくりそのままお前に返してやる。
なんでお前が、ここにいるんだ」

部長の言葉には酷く険があったが、彼女はかまわずにソファーに座った。
渋々ながら部長も、私の隣に腰を下ろす。

「なんでって婚約者がディナーのお誘いに来ちゃいけないの?
ていうか、そもそもあなたが誘うべきじゃないの?」

長い足を組み、彼女がにっこりと部長に笑いかける。
しかし。

「婚約者!?」

私は彼女の言葉を聞いて、反射的に立ち上がっていた。

「いいから座れ」

「……はい」

けれど部長から命令され、大人しくまた座り直す。

「だいたい、婚約者がいるっていうのに、なんで女がこの家にいるの?」

じろりと横目で彼女から睨まれ、びくんと背中が大きく揺れた。

「さっきから婚約者、婚約者って、お前とは婚約すらしていない。
あの見合いのあと、すぐに断ったはずだ」

吐き捨てるように部長が言う。
というか部長、お見合いなんてしていたんだ。

「えー、私は承知していないから、準一朗は私の婚約者よ」

彼女が頬を膨らませ、唇を尖らせる。
美人のこんな表情に普通の男性ならぽーっとなりそうだが、部長にはまったく効いていなかった。
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