2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「お、お皿!
お皿、取ってきますね!」

なんだかいたたまれなくなって、勢いよく立ち上がる。

「ああ。
俺も手、洗ってくる」

部長も立ち上がり、一緒にキッチンへ向かう。
棚からお皿を出しながら、隣で手を洗っている部長をちらり。
さっきのあの顔、なんだったんだろう?
心臓の鼓動はいまだに落ち着かない。

「どうかしたのか?」

じっと私が見ていたのに気づいたのか、不思議そうに部長が私の顔をのぞき込む。

「えっ、あっ、ああーっ!」

中途半端な姿勢で持っていたお皿が、動揺した弾みで手から滑り落ちる。
それはすぐに床に当たり、ガシャンガシャンと音を立てた。

「す、すみません!
いたっ!」

慌てて座り込み、割れたお皿に手を伸ばす。
なにも考えずに触れたせいで尖ったそれは、私の皮膚を傷つけた。
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