2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
ふっ、と彼が眼鏡の奥で目を細め、柔らかく笑う。
それで、その場の空気が緩んだ。

「ズルいです」

「んー?
まあ、明日美は可愛いと思ってるよ」

さりげなく名前を呼びし、部長が私のグラスにワインを注いでくる。

「……やっぱり富士野部長はズルいです」

すっかり熱くなってしまった顔で、それをちびちびと飲んだ。

「まあでも、明日美と俺が結婚するっていうのは悪くないよな。
そうなればアイツも今度こそ諦めるだろうし」

なんでもないように言い、部長がピザにかぶりつく。

「そんな理由で結婚を決められても困るんですが」

私も気を取り直し、ピザを口に入れた。
好きかと聞いて誤魔化されたのに、そんな理由で結婚の話をされるのは嫌だ。
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