2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「そうです。
いつも明るく頑張っている明日美さんに惹かれて。
こっちから告白するのはパワハラになるかなと躊躇っていたんですが、いじらしい一面を見せられてそんなことを言っていられなくなり、押しました」

だよな? と部長はこちらに視線を送ってくるが、その嘘話は初耳だ。
しかし、黙って頷き同意しておく。

「はい。
富士野部長から告白されときは驚きましたが、尊敬する上司からの告白ですから嬉しかったです。
付き合ってさほど経たず結婚を切り出されたときには戸惑いましたが、富士野部長の熱意に押されて」

ですよね? と今度は私が部長へ視線を送る。
彼はそのとおりだと頷いた。

「そうか。
準一朗が決めたことなら私たちに異論はない。
君たちの幸せを祈っているよ」

本当の心の底からそう思っているのか、お父さんの目にもお母さんの目にも涙が光っている。
これは一時的なものでこんな彼らを騙しているのだと思うと心が痛い。
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