2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
その後はお母さんお手製のケーキを食べながらお茶した。

「明日美さんのご両親へはいつ、挨拶へ伺おうか」

お父さんの言葉でぴくりと手が止まる。

「そうですね……。
早いほうがいいですけど、しばらく明日美さんも僕も忙しくて。
落ち着いたらまた連絡します」

「わかった。
スケジュールを空けるから、決まったらすぐに連絡してくれ」

部長がにっこりと笑い、この話はこれで終わりになってしまった。
親相手にさらさら嘘をつく部長が恐ろしい。

「お母さん、こんな可愛い娘ができるなんて嬉しいわ。
そうだ、明日美ちゃん。
今度一緒にお買い物に行きましょう?」

可愛らしく小首を傾げてお母さんにお願いされ、断れる人間がいるだろうか。
いや、いない。

「そう……」

「すみません、母さん。
さっきも言ったように明日美さんはしばらく、忙しいので」

……とか思ったら、いた。
やんわりと部長がお母さんのお願いを断る。

「そうなの?
残念だわ。
あ、でも、ドレス選びは一緒に行きたーい!」

両手の指を組み、キラキラした目で見ているお母さんは圧が凄い。

「そ、そうですね。
そのときは、ぜひ」

今度も部長が断ってくれると思ったのに、素知らぬ顔でお茶を飲んでいる。
なぜだ?
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