2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「それって、どういう意味ですか?」

「あの人たちは次男の俺にはなんの期待もしてないんだ。
兄には跡取りとして習い事や勉強をさせたが、俺は放置だった。
ただ、やりたいと言えばなんでもやらせてくれたよ。
兄に厳しくする反面、それだけ俺を甘やかせたからな」

話す部長はどこか淋しそうで、口出しできない。

「兄にはよい成績を期待するのに、俺が一番取ろうと必死に勉強すると、そんなに頑張って勉強しなくていいって言うんだ。
将来はちゃんといいようにしてやるから、心配しなくていいんだって。
そんなの言われて、俺が嬉しいとでも思っているのか?」

皮肉るように部長の顔が歪む。
ああ、この人は……。

「……それ、ちょっとわかります。
私もそんなに頑張って勉強して、お姉ちゃんみたいになる必要はないんだ、って言われていたので」

だから、父と母は私に期待していないんだと思っていた。
一流企業に就職した姉と違い、二流企業に就職した私を、明日美らしくていいと姉も両親も笑っていて悔しかった。
姉には将来の心配なんかしないのに、私にはしょっちゅう、お金はあるのかとか気にする両親が嫌だった。
きっと部長も今まで、私と同じ感情を抱えて生きてきたんだ。
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