2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
会社に入った途端、富士野部長から手を引っ張られた。
「えっ、なんですか」
「いいから着いてきてください」
そのまま強引に私の手を引っ張り、連れてきたのは誰もいない非常階段だった。
「明日美」
眼鏡を外し、部長が私を呼び捨てにする。
壁際に追いやられ、わけもわからぬまま彼の顔を見上げた。
「プレゼンが上手くいくようにおまじない」
眼鏡を持つほうの腕を、部長が壁につく。
反対の手が私の顎にかかり、逃げられないように固定された。
傾きながら近づいてくる顔が、スローモーションのように見えた。
形のいい唇が私に唇に触れ、離れる。
「……これで絶対に、上手くいく」
眼鏡をかけ直しながら、私が見える口端を部長は僅かに持ち上げた。
おかげで、一気に現実に戻ってくる。
「……キ」
「ん?」
「キスとかしないでください!
しかも会社で!」
私から怒りをぶつけられたというのに、部長は涼しい顔をしている。
それどころか。
「ちゃんと人目のないところを選びましたから、問題ないですよね?」
さらりと言い放ち、くすりとバカにするように小さく笑われたら、火に油が注がれるだけだ。
「問題!
大あり!
です!」
「いいんですか、早く行かないと時間がなくなってしまいますよ?」
促すように部長がドアノブに手をかける。
「ああっ、早く戻って資料の確認しないと!」
そうだった、今は富士野部長と争っている時間などないのだ。
それでも、先に非常階段を出たところで、部長を振り返る。
「許したわけじゃないですからね!」
それだけ叩きつけ、部長を残して大急ぎで職場に戻った。
「えっ、なんですか」
「いいから着いてきてください」
そのまま強引に私の手を引っ張り、連れてきたのは誰もいない非常階段だった。
「明日美」
眼鏡を外し、部長が私を呼び捨てにする。
壁際に追いやられ、わけもわからぬまま彼の顔を見上げた。
「プレゼンが上手くいくようにおまじない」
眼鏡を持つほうの腕を、部長が壁につく。
反対の手が私の顎にかかり、逃げられないように固定された。
傾きながら近づいてくる顔が、スローモーションのように見えた。
形のいい唇が私に唇に触れ、離れる。
「……これで絶対に、上手くいく」
眼鏡をかけ直しながら、私が見える口端を部長は僅かに持ち上げた。
おかげで、一気に現実に戻ってくる。
「……キ」
「ん?」
「キスとかしないでください!
しかも会社で!」
私から怒りをぶつけられたというのに、部長は涼しい顔をしている。
それどころか。
「ちゃんと人目のないところを選びましたから、問題ないですよね?」
さらりと言い放ち、くすりとバカにするように小さく笑われたら、火に油が注がれるだけだ。
「問題!
大あり!
です!」
「いいんですか、早く行かないと時間がなくなってしまいますよ?」
促すように部長がドアノブに手をかける。
「ああっ、早く戻って資料の確認しないと!」
そうだった、今は富士野部長と争っている時間などないのだ。
それでも、先に非常階段を出たところで、部長を振り返る。
「許したわけじゃないですからね!」
それだけ叩きつけ、部長を残して大急ぎで職場に戻った。