2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
今日のプレゼンはおもだった部署の課長と部長が出席している。
ほぼ、商品採用試験といってもいい。

「……ご当地の食材を使うことによって、付加価値が生まれます。
さらにマスコットキャラにご当地コスプレをさせることで、コレクション性が生まれ……」

プレゼンは終盤に入っていた。
ここまでは部長のおかげか、上手くいっている。

……よし、あとは綺麗にまとめるだけ。
なんて気が緩んだ瞬間。

「コレクション性ってさー、こんなものを集める人がいるの?」

生野課長から質問の声が上がる。
同時に、年配の方々が同意だと頷いた。

「こちらのデータにもありますとおり、限定品への関心は高く……」

「あれでしょ?
転売ヤーとかいうのが買い占めて、価格をつり上げるんでしょ?
それも問題だし、そもそも話題になるの、こんなの?」

はぁっと短く、呆れるようにため息をつき、ぺしぺしと資料を叩きながらちらりと課長が富士野部長を一瞥する。

「それにつきましては……」

「だいたい、パッケージ頼みなんてねぇ。
中身で勝負しないと、中身で」

私の意見を聞く気がないのか、かぶせるように課長が遮ってくる。
さらに、彼の冷笑に追従して他の方々からも笑われ、カッと頬に熱が走った。
硬く唇を噛みしめ、俯く。
このまま逃げだしてしまいたくなったが、踏ん張った。
あんなに頑張ってきたじゃないか。
ここで逃げたら全部が無駄になる。

それに生野課長はきっと最初から、富士野部長に嫌がらせをするのが目的だ。
同じ部内だから、このところずっと私が、この件で部長に相談しているのは知っているはずだ。
だからこそ、こうやって私の案を卑下し、間接的に部長へ嫌がらせをし、いつも抱えている不満を溜飲を下げている。
そんな最低な人間には……絶対に、負けない。
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