2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「あ、別に姉を恨んでいるとかないんですよ。
ふたりには幸せになってほしいと思っています。
でもこれで、完全に吹っ切らないといけないな、って」
浮かんできた涙が落ちないように顔を上げると、レンズ越しに富士野部長と目があった。
じっと私を見つめる黒い瞳は、悲しんでいるように見えた。
「紀藤さんは優しいんですね」
伸びてきた手の指が、そっと私の目尻を撫でる。
「自分はこんなに傷ついているのに、お姉さんとその男の幸せを願うなんて」
離れていく手を、ただ黙って見ていた。
眼鏡の向こうから私を見る目は、目尻が僅かに下がっている。
それに――心臓が甘く、とくんと鼓動した。
「えっ、あっ、……そんな」
一気に酔いが回ったかのように、顔がみるみる熱を持つ。
きっと真っ赤になっているであろう顔を見られたくなくて、俯いてもそもそと野菜を口に突っ込んだ。
たぶん、部長は私に同情して慰めてくれているんだと思う。
だったら、無理なお願いをしても聞いてくれるだろうか。
「富士野部長」
顔を上げ、真っ直ぐに彼を見つめる。
私の真剣な声に何事か感じとったのか、部長は口へ運びかけたグラスをテーブルに戻し、姿勢を正した。
ふたりには幸せになってほしいと思っています。
でもこれで、完全に吹っ切らないといけないな、って」
浮かんできた涙が落ちないように顔を上げると、レンズ越しに富士野部長と目があった。
じっと私を見つめる黒い瞳は、悲しんでいるように見えた。
「紀藤さんは優しいんですね」
伸びてきた手の指が、そっと私の目尻を撫でる。
「自分はこんなに傷ついているのに、お姉さんとその男の幸せを願うなんて」
離れていく手を、ただ黙って見ていた。
眼鏡の向こうから私を見る目は、目尻が僅かに下がっている。
それに――心臓が甘く、とくんと鼓動した。
「えっ、あっ、……そんな」
一気に酔いが回ったかのように、顔がみるみる熱を持つ。
きっと真っ赤になっているであろう顔を見られたくなくて、俯いてもそもそと野菜を口に突っ込んだ。
たぶん、部長は私に同情して慰めてくれているんだと思う。
だったら、無理なお願いをしても聞いてくれるだろうか。
「富士野部長」
顔を上げ、真っ直ぐに彼を見つめる。
私の真剣な声に何事か感じとったのか、部長は口へ運びかけたグラスをテーブルに戻し、姿勢を正した。