2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
週末、コンペの最終結果が出た。

「紀藤さんの企画に決まりました!」

発表する富士野部長は、興奮気味だ。

「え、ほんとに……?」

空耳……じゃないよね?
全然、実感がないんだけれど。

「はい。
紀藤さんの企画が商品化されます。
よく頑張りましたね」

部長が頷き、じわじわと喜びが身体の内側から湧き上がってくる。

「あ、ありがとうございます……」

おかげで、じんと目頭が熱くなった。

「えっ、あっ、……すみません」

目尻を拭い、鼻を啜って涙を誤魔化かして笑う。

「皆さん、紀藤さんに拍手を」

「おめでとう」

「おめでとうございます」

皆、お祝いの言葉を口にしながら拍手をしてくれた。

「ありがとうございます!」

それに向かって、勢いよく頭を下げる。
ただひとり、苦々しげに顔を歪め、そっぽを向く人間を視界に収めながら。

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