2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
お祝いは明日だと、今日の夕食はいつもどおりだった。

「明日美は凄いなー、資格試験も今のところ、全部一発合格だろ?
しかもコンペも並み居るライバルを蹴散らして、採用だし」

もう酔っているのか、ワイングラスをぐるぐる回しながら部長は楽しそうだ。

「全部、部長のおかげです」

部長に命令されなきゃ、コンペに応募しようなんて思わなかった。
それも、ヒントになるように連れ出してくれたり、プレゼンの指導もしてくれたりした。
資格試験だって私がそれに集中できるように環境を整えてくれるし、わからなくて詰まっていたら丁寧に教えてくれる。
私の実力というよりも、部長のおかげだ。

「んー、俺はなにもしてないぞー?
全部、明日美が頑張った成果だ」

ふにゃんと実に気の抜ける顔で部長が笑う。
それを見てなぜか頬が熱くなった。

「……ありがとうございます」

赤くなっているであろう顔で、ちまちまと料理を口に運ぶ。

「そうだ。
金一封が出たら、なにかお礼をさせてください。
あ、でも。
部長のレベルにあうものがプレゼントできるかわかりませんが」

こんなにいろいろしてくれる部長に、私はなにも返せていない。
いや、自称婚約者除けで婚約者のフリをしているから、そこはギブアンドテイクになっているのか……?
それでも、部長になにかお礼はしたかった。
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