甘い災厄

まつりは呟きながら立ち上がり、下に降りる。
 そして台所に着くと、寝坊しても安心☆朝食セット(昨日作った)を温める。

「たまごやきー、たこさん、ウサギさんー、サラダにー、ハンバーグ……」

歌いながら、次々と温めては皿に移す。まつりは、朝はしっかり食べる派だ。お湯でカップスープを作って、二つ並べて、まつりは思わず微笑んだ。
と、そのとき、上から、夏々都が降りてくる。
まつりが部屋に脱いだままだった、厚めの上着を手にしていた。
「おはよ」

「上着」

「ん。ほら」

手渡される上着を急いで身にまとう。

「薄着で追い出して、まつりが風邪引いたらどうするの」
「看病してやるよ」
ふふんと得意気に言われるが、彼の不器用具合は、なかなかなものなので、看病となると、こちらがおちおち寝てられない。
「いや……いいから、学校行きなさい」
「え、嫌?」
「嫌じゃないけど、ご飯一合っていったのにご飯を1・5合炊くじゃん」
「いちごごうって」
「い、ち、ご、う……まあいいや、これからはお嫁さん修行もしていかなきゃね」
彼は何度説明しても、よくわかってくれないので、まあ、いつか覚えてもらおうと考え中だ。
実は彼は、つい最近までご飯を炊くことさえも知らなかったのだ。
だからまあ、少しずつ進歩しているのは確かなので、いつかはなんとかなると思う。
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