甘い災厄
ベッドでごろごろ回転していると、勉強中だった夏々都が、椅子に座ったまま、うるさい、と訴えてきた。なんだよ。
まつりは夏々都を心配してやってんのにさ。
「どうしたんだよ、さっきから唸って。気になって仕方ない」
「だって、夏々都が」
「ぼくが、なに」
「思春期な夏々都が」
「思春期なぼくがなんなんだよ……」
「もしかして、一度で、随分と思い出しちゃう?」
「なっ──なんの、話だ」
「だって、様子が変だよ。まつりに今さらドキドキするのって、おかしくない?」
「いやドキドキはしてないけど……」
「じゃあ、なにー」
「……お前なぁ、そんなことについて考えてたのかよ」
「何か思い悩んでるなら聞きたいなー、くだらねーことで悩んでバカげてるって嘲笑うくらいなら、してあげるよ?」
「わー最悪だ……そりゃどうも。別に何も悩んでないから」