【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
「あ〜肩が凝ったぜ!」
大声でそんな事を言いながら肩をぐるぐる回していたのは、ピッツァさん。燃えるような赤い髪の毛を珍しく結い上げ、身体にフィットする薄紫色のサテンドレスに身を包んでいる。靴も10センチはある革のヒールを履きこなしていた。
「この後まだ堅ッ゙苦しいイベントあるんだろ?エスケープしてぇな」
相も変らぬ通常運転な彼女。わたしは苦笑いしながら、一応たしなめておいた。
「そんなこと言ってたら、会えると期待していた人たちががっかりするよ。なにせ、ピッツァさんはあのドン・コレッツイを捕まえた英雄なんだから」
そう。
ピッツァさんは先日あった襲撃事件の際、王都にいたドン・コレッツイを逮捕した。
もともと彼女は数年がかりでドン・コレッツイを追っていて、去年あったユニコーン密猟事件もやつの手引きで起きていた。あの時初めて潜入捜査していた彼女と会ったんだ。
長年ドン・コレッツイを追っていたから、かなりの情報を掴んでいたピッツァさん。彼女を騎士隊長とした部隊で首都の出現を掴み、襲撃事件の前に張り込んでいて……
ようやく尻尾を掴んだ彼女が、現れたドン・コレッツイを逃がすはずもなく。
見たら死ぬとまで言われた男の正体を暴き、死闘の末遂に捕縛したんだ。
数十年にわたりゼイレームで悪事を働いた男は、彼女の活躍により捕まった。