【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
次は、あちらのターン。
トムソンの攻撃パターンで言えば、ランスを狙うだろうけど…。
こちらが馬をスピードアップさせたことで、攻撃に移る時間が若干短くなった。直情型のフランクスと違い、トムソンは冷静沈着。焦りは表に出さない。
(ランスだけではなく、全体の動きをよく見るんだ)
すれ違うまで、あと数秒。
ランスチャージ(突撃)の動作が垣間見える。
でも、おそらくそれは……。
わたしはわざと、ランスを右斜め下へ構える。
すると、トムソンもそれに対応してきた。ランスを前方へ構えている。
そしてすれ違う瞬間、トムソンのランスは速いスピードで盾を突く…と見えて、ランスの穂先を狙ってきた。
(やはり、ランスチャージの予備動作はブラフだ!)
予備動作で誘い、こちらを油断させるつもりだったろうけど。あいにくこちらは作戦を読んでいた。ランス同士をかち合わせ、やり過ごす。
アクアの横腹を蹴り、さらにダッシュをかけてすれ違う。
ターンしてからさらにスピードを上げていった。
(アクアの脚についてこられるか?)
トムソンも馬をスピードアップさせたけど、やはり若干慌てたのが見える。このまま、次はわたしの攻撃ターンだ。
わたしの作戦はシンプルイズベスト。正々堂々とランスチャージでの勝負。
(来た…!)
すれ違う1秒前、ランスチャージを繰り出す。トムソンもそれに対応しようと、防御するけれども…。
わたしのランスの穂先が届く時間の方が速かった。
トムソンのランスが折れる手応えがあり、そのまますれ違う。
審判によりエストアール家の紋章旗が掲げられ、わたしは3勝目を挙げた。