佐藤 VS 佐藤
First round




あれから午後の授業開始ギリギリまで屋上で過ごし、午後の授業は寝て過ごしたあたし。
…結局今日一度もまともに授業受けてないな…。



「帰りのホームルーム始めんぞー。お前ら席つけー。」


さすがに少し寝すぎた、と反省していると、
いつも通り、少し気の抜けた口調で教室に入ってきた担任。

それまで立っていた生徒も、バタバタと自分の席に戻る。


「えーっと…」



連絡事項を告げ始めたのを軽く聞き流しながら、今日の部活のことを考えた。
―あたしは写真部。

家から遠く離れたこの高校に来たのも、写真部があったから。
(近くの高校にもあったんだけど、あまり活動してなさそうだった。)


そのせいで、アイツと再会することになったわけだけど、部活は楽しいから後悔はしてない。


…前に住んでいたところから近いのはわかってても、まさか同じ学校にいるなんて思わなくて。
死ぬほど驚いたのは、本当。









「ダブル佐藤―!聞いてんのか?おまえらに言ってんだぞ。」


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