佐藤 VS 佐藤


「じゃあ、委員会を始めたいと思いますー…」


他の委員会は、それぞれの委員長(風紀委員長とか、体育委員長とか)が仕切るんだけど、クラス委員であるあたしたちの委員会だけは『議長』が仕切る。
議長っていうのはクラスごとに順番でまわってくるから、今日の議長は他のクラスの委員長だ。
2人とも、何度か話したことはあるけど、名前は忘れた。

その議長が、あたしの方を見る。


「えーっと、佐藤さんのとこは欠席?今日、代理の人が来るって聞いたんだけど…。」


――やっぱり気づくか。


「あー…代理の人、来る予定だったんですけどー…」



何て言おう。
さぼりですって正直に言う?

…ってかさ、「アイツいないほうがいいなぁ」とか思ってたけど、実際いないと困る!
どうせ女の子と遊んでるに決まってるし!!

―みんなの視線が集まってて、目が泳ぐのが自分でもわかった。



「なんか、用事があったみた―…」



ガチャ



適当にごまかそうとしたところで、ドアの開く音が響き、あたしに集まっていた目線が一斉にそちらへ向く。








入ってきたのは、



「すんませーん。遅れました。」



アイツ、だった。

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