佐藤 VS 佐藤





「…じゃあ、今日はここまで。」

「きりーつ、れい」


1限の終わりを告げるチャイムが鳴るのと同時に教室を出ていく教師の背中を眺めながら、深くため息をつく。


(結局帰ってこなかったな…)


教室を出て行った彼女たちのことが気になって、授業は全く頭に入ってこなかった。




泣かしたのは、アイツ。

…だけど、間接的には あたしのせいでもある。







『えー?誰がひいたわけ?』

『俺だよ、文句あんのか。』


――くじをひいたのは、あたしだった。


『俺じゃないと思ってたなら、アイツだと思ってたわけだろ?』


――確かに、そうなのかもしれないけど。



…なんで、アンタがそんなに怒ってんの。

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