佐藤 VS 佐藤



「…ん、れん、起きて。」


肩を揺すられる感覚と あたしの名前を呼ぶ声に、ゆっくりと意識を取り戻した。

最初は、教室を出て行った美紅たちの帰りを待っていたけれど、2限も3限も戻ってくることはなくて。
睡眠不足と、今朝の精神的な疲れからか、すっかり眠ってしまった4限は、いつの間にか終わったみたいで。


体を起こしたとき目の前にいたのは、


「れん、目ェ覚めた?」


少しだけ申し訳なさそうに笑う、女の子。













「さっきはごめんね!」

「いや、そんな…、」


両手を合わせて謝るのは、高橋華乃(タカハシハナノ)

『華乃』なんて可愛らしくて清楚なイメージの名前だけど、
性格は、どちらかと言えばサバサバしたタイプの子。
見た目は、化粧も服装もかなり派手…。

いろんな意味でギャップのある彼女は、今朝アイツに謝っていた子のほうだ。

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