佐藤 VS 佐藤
「無神経だったよね!ほんと、ごめん!!」
「いいって!大丈夫だから、ほんとに。」
…それより…、
「美紅ちゃんは大丈夫だった?」
「美紅ね、うん、なんとか元気取り戻したよ。」
(よかった…。)
「一緒に謝ろうって言ったんだけど…、」
苦笑いして言葉を切ったことから、なんとなく想像がついた。
…美紅ちゃんは、あんまり謝ったりするイメージないし。
「あの子もさ、行成のこと好きすぎて、ちょっと周りが見えなくなってるみたいで。」
「だから、あたしがあの子の分まで謝るから」と付け加えられた言葉に、彼女の人柄の良さを感じた。
「…ありがとう。」
そして、ごめんなさい。
「え?」
「華乃ちゃんの、その気持ちが嬉しいよ。」
今まであんまり深く関わったこともなかったけど、なんとなく苦手だった。
でも、それは、間違ってたね。
こんなに優しくて、いい子なのに。
「…どういたしまして。」
照れたように笑った華乃ちゃんの顔は、今まで見た中で1番綺麗だった。