佐藤 VS 佐藤


「でもさー…れん いいよねー!!」

「あ!あたしも思った!!」


???


「…ごめん、なにが?」

「だって、行成と一緒に委員長じゃん!!」


――そうだよね。他の子からしたら、幸せなことなんだ。
でも、あたしにとっては、幸せなわけがない。

何と言ったらいいかわからなくて、ただ笑ってごまかした。


あたしとアイツの関係は、誰にも言ってないから。
苦手だと思っていることぐらいは気付いてるかもしれないけど。

これからも、話すつもりはない。








「…ごめん。ちょっと用事思い出しちゃった。」


手付かずの焼きそばパンとメロンパンを鞄の中にしまい、席を立つ。


「まじ?いってらっしゃーい。」


ひらひらと手を振るみんなに笑顔で手を振り返して、あたしは教室を出た。
ほんとは用事なんてない。

…ただ、なんとなく、逃げたかった。

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