出逢うべくして。You’re the one for me...
ごめんね許して
「あぁ、見つかっちゃった?ごめん、話そうと思ってたんだけど忙しくて。」
凛花さんの顔を見ないようにして
仕事バックの中身を整理しながら淡々と話す。
「忙しいのはわかるけど、
こんな大事な....「読んだと思うけど。
バレちゃった。笑 だからもう終わり!ちょうどよかったっていうか?なんか俺やっぱ恋愛向いてないのかもなぁって思ってきててさ?最近本当忙しくて。電話も正直苦痛だったんだよね〜。そんな時間あったら寝たいなとか、、、思って...だからさ、
言葉を遮って、
つらつらと口からでてくるセリフに
自分でも驚く。
仕事で培った演技力がこんなところで
役に立つなんて。
「「別れよう」」
はっ、として顔を上げて凛花さんを見る。
意を決して発した言葉が自分の耳に入ってくると同時に聞こえたのは凛花さんの声。
凛花さんからも確かに
別れよう。
そう聞こえた。
目にこぼれ落ちそうなくらいの大粒の涙を
貯めて
「私も最近ね、そう思ってたんだ。中々言い出せなくてさ!同じ気持ちでよかった。電話、嫌だったなら言ってくれればよかったのに。無理に付き合わせちゃってごめんね。短い間だったけどありがとう。」
「これ返すね。」
そう言ってダイニングテーブルの上に置かれた
指輪と合鍵
「それじゃ。体に気をつけてね。」
最後に見たのは
涙で頬を濡らしながら微笑んだ表情の凛花さん
バタン
気づいた時には
俺の後ろで玄関の扉が閉まる音がして
静まり返る室内。
あぁ。
こんなにもあっけない。
「短い命だったなぁ、ごめんなぁ。」
ダイニングテーブルに置かれた
ほんの1ヶ月前に渡した指輪を
指でつまんで天井に掲げて見ると
出会ってからの記憶と
嬉しそうに指輪を受け取った凛花さんの表情を
一気に思い出して
「.....っつ。うっ、....くっ....」
ごめんね。凛花さん。
一生大事にするつもりだったのに
叶わなくて。
あれだけ約束したのにね。
どうか、
どうか、幸せになって。