出逢うべくして。You’re the one for me...

そんな会話が聞こえてきて、彼女がいかにみんなから慕われているかすごく伝わってきた。



食堂に通うたび、佐藤さんの新たな一面をどんどん発見していって。知るたびに惹かれていって。



やっぱりあの時の俺の直感は間違ってなかったんだなって、そう思った。



仕事のことしか考えられなかった忙しい毎日に、ちょっと心の緊張をほぐしてくれる彼女の存在が今の俺にはすごく心地が良くて。



むしろ仕事の質上がってるんじゃ?ってくらいだ。



多分向こうは気にもとめてないだろうけど...



佐藤さんの記憶に少しでも残っておきたくて、キッチンにいるときは目があったら会釈することにした。


向こうも返してくれるから何とか覚えてもらってるみたいだけど。



ガラス越しの仕事部屋にいるときは、難しい顔をして真剣に仕事してる姿が見れる。



ちょうどその姿が見える特等席を見つけたからいつもそこに座ってしまう。




今日は社食に入ってきた時点で佐藤さんが注文口にいるのが見えた。



何としてでも話したい。



きっかけ作りにと、この間食べられなかったハンバーグ定食の食券を買う。



佐藤さんと目が合い会釈すると向こうも返してくれた。食券を渡すと、



「ハンバーグ定食...」



と、佐藤さんが呟いた。
チャンスだ。



「そうなんです。食べてみようと思って!」



佐藤さんは微笑んでくれた。
あぁ、ずーっと仕事一筋で来たのにな。
完全に恋してるわ、俺。


しかも、職場で。
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