出逢うべくして。You’re the one for me...
夕方からはメンバーとMVの撮影だった。
今回撮影までに考えていたコンセプトをもう一度確認し撮影の流れの説明を聞く。
いつも応援してくれているファンが楽しみにしているのが分かっているから俺達も絶対手を抜かない。
納得いくまで確認し、動きの確認をする。
形になったところで一旦休憩になった。
さっき佐藤さんからもらったフレンチトーストを食べる。
「いぶきぃ、何食べてんの〜うまそうじゃん!」
最年長の悟(サトル)が話しかけてきた。
「フレンチトースト、さっき食堂で試食もらったんですよね。え、バナナ入ってる!これうまい絶対売れるわ!」
「は、もらった?試食とか俺もらったことないんだけど」
「悟さん〜聞いてくださいよ。伊吹、最近ずーっと食堂いってるじゃないっすか。あれ何でだと思います?笑」
ニヤニヤしながら新が言う。
でたよ、新の俺いびり。たぶんもう逃げられない...
「単なる食い意地じゃねーんだ?笑」
「違うんですよ。こいつ、社食の栄養士さん見に行ってるんです!俺もうびっくりしちゃって笑」
「おーおー、伊吹お前そんなキャラだったかなぁ?笑」
「うるせーよ。いいじゃないすか。最近の楽しみなんで邪魔しないでくださーい。仕事はちゃんとやりますから。」
「まぁ、良いことよ。伊吹はくそ真面目だから、そういうの興味ないと思って逆に心配してたくらいだし。」
悟さんは俺と新の兄ちゃん的存在。
歳は俺らと1つしか変わらないけどずっと大人で、いつも話を聞いてくれる。
俺がリーダーとして仕事していく中で、グループの方向性に悩んでいたときも一歩引いたところから見てアドバイスしてくれて...
本当に感謝している。
悟さんがいるから俺がリーダーとしてやっていけてる。
普段はふざけた会話ばっかでヘラヘラしてるけど笑
「試食ももらって特別扱いということは、なかなか上手くいってる訳ですね??」
近くで話を聞いていた真人と光瑠が寄ってきた。
「いや、ちゃんと会話できたのは今日が初めて。多分向こうはそんなんじゃない。」
「え〜あの噂の栄養士さんすよね??真人また今度見に行こうぜ〜笑」
「真人、光瑠、俺らも連れてけ!どの子か教えろよ!」
あっという間にグループに広まってしまった。
お願いだから慎重に行かせてくれよ。
「はぁーい、この話終わり!本番行こ!」
「よっしゃ、気合い入れていくぜ!」
「「「はぁ〜い!」」」
本番となるとみんな眼の色が変わる。
何度か撮り直して納得のいくMVが完成した。