出逢うべくして。You’re the one for me...
「今日はあたしが凛花と話したいっていうのもあったんだけど伊吹から凛花に会わせてほしいってお願いされてて。凛花と話してみて呼べる状態だったら...って話だったの。それなのにあんたは勝手に。」
「すいません咲さん。どうしても俺の気持ちは伝えなきゃって思って来てしまいました...」
咲さんが凛花さんへ説明してくれたおかげで
状況を何とか読み取った凛花さんは
帰る準備をしている咲さんを心配そうに見つめる。
「え、咲...帰っちゃうの?」
「今日はそのつもりだったから。またちゃんと2人で飲もうね!」
不安そうな表情で見送る凛花さんをよそに
咲さんは俺の方を一度見ると、部屋を後にした。
頑張りなよ。
そう言われた気がした。
2人残された個室で、
何とも言えない空気感の中
少しの間沈黙が続く。
ずっと考えていた伝えたいことは
極度の緊張から飛んでいってしまったけれど...
今の俺の言葉でちゃんと伝えなきゃ
ありったけの
凛花さんに対する想いを
「えっと、まずは謝らせてください。ほんっとにすみませんでした。アイドルだってことちゃんと言わなくて。」
「俺、凛花さんが俺のことアイドルだって知らないの気づいてて、言わなきゃって思ったけど...俺のことアイドルの俺じゃなく、ただ1人の男として見てもらいたかったんです。」
「最初に食堂で会った時仕事に対して真剣で、でも笑顔がすごい綺麗で。ほんの少しの時間話しただけで、それだけでいいなって思ったんです。」
「何度も食堂で見かけるたびに目で追ってしまうし、他の人と話してる時の凛花さん見てるとやっぱり思った通りの優しい人だなって分かって。」
「やっと連絡先手に入れてからは電話したり、メッセージやり取りしたりが俺の毎日の楽しみになって。どんなに仕事が忙しくてもそれがあるから頑張れたっていうか。」
「今の俺に元気をくれたり癒やしてくれたり、そんなことができるのは凛花さんしかいません。ファンももちろんそうだけれど、今の俺には凛花さんが仕事を頑張る理由になってるんです。」
「正直言うと、芸能人との恋愛は普通じゃありません。外で簡単に会えないし、周りにも言えない、たくさん我慢させてしまうと思います。できるだけないように、悲しい思いをさせないように全力を尽くしますけど...辛い思いをすることがないとは、はっきり言えません。」
「でも俺は凛花さんとどうしても一緒にいたい。
凛花さんのことが大好きだから。」
「全力で守ります。わがままですいません。
俺と付き合ってくれませんか?」
ずっと凛花さんの目を真っ直ぐ見て、言えた。
なぜか言いたいことはスラスラでてきた。
きっと伝わったと思う。
あとは凛花さんの気持ちを聞くだけ。