私を愛するその人は、私の向こうに別の女(ひと)を見る
息苦しさを感じて、目が覚めた。
私がいたのは、瑞斗さんの腕の中。抱きしめられている。そして、その腕が私をぎゅうぎゅうと締め付ける。
「瑞斗……さん?」
顔を上げるも、彼の目はまだ閉じていた。
うなされているのか、その顔は歪んでいる。
「アリサ……ごめん、アリサ……」
瑞斗さんがそう言って、さらに顔を歪めた。私の身体を締め付ける力も強くなる。
“アリサ”。それは、きっとあの文字を書いた女性の名だ。
瞬時にそう思った私は、何とか両腕を出すと、ぎゅっと彼を抱きしめ返した。
私は“アリサ”さんじゃない。
けれど、“アリサ”さんの代わりはここにいます、と伝えたかった。
すると、不意に瑞斗さんが目を覚ます。
「あれ、俺……」
目線を下げた彼と、目が合った。
一瞬目を見開いた彼は、すぐにいつもの爽やかな笑みを浮かべた。
「おはよ」
それで、私は慌てて彼から両腕を退けた。
「おはよう……ございます……」
そう言うと、彼は私の頭をポンポンと撫でた。
「やめちゃうのか、それ」
ちょっとだけ残念そうに眉をハの字にした彼は、そのままクスっと笑った。
その笑顔に、胸がチクリと痛んだ。
ごめんなさい。
私、アリサさんの代わりだなんて思ったけど、本当は“私”として、あなたを抱きしめたかっただけなんだ。
ため息を漏らし、うつむいた。
それなのに。
「ねえ、顔上げてよ」
瑞斗さんは私の顎をすくい、持ち上げる。
そこにいたのは、照れたように笑う彼。
「あのさ、僕、紗佳が寝ちゃった後……順番間違えたなって、ずっと後悔してた」
「え?」
思わず目をパチクリさせた。
どういう、こと?
そう思う間にも、彼は目の色を真剣なものに変える。
「僕と、お付き合い、してくれませんか?」
私がいたのは、瑞斗さんの腕の中。抱きしめられている。そして、その腕が私をぎゅうぎゅうと締め付ける。
「瑞斗……さん?」
顔を上げるも、彼の目はまだ閉じていた。
うなされているのか、その顔は歪んでいる。
「アリサ……ごめん、アリサ……」
瑞斗さんがそう言って、さらに顔を歪めた。私の身体を締め付ける力も強くなる。
“アリサ”。それは、きっとあの文字を書いた女性の名だ。
瞬時にそう思った私は、何とか両腕を出すと、ぎゅっと彼を抱きしめ返した。
私は“アリサ”さんじゃない。
けれど、“アリサ”さんの代わりはここにいます、と伝えたかった。
すると、不意に瑞斗さんが目を覚ます。
「あれ、俺……」
目線を下げた彼と、目が合った。
一瞬目を見開いた彼は、すぐにいつもの爽やかな笑みを浮かべた。
「おはよ」
それで、私は慌てて彼から両腕を退けた。
「おはよう……ございます……」
そう言うと、彼は私の頭をポンポンと撫でた。
「やめちゃうのか、それ」
ちょっとだけ残念そうに眉をハの字にした彼は、そのままクスっと笑った。
その笑顔に、胸がチクリと痛んだ。
ごめんなさい。
私、アリサさんの代わりだなんて思ったけど、本当は“私”として、あなたを抱きしめたかっただけなんだ。
ため息を漏らし、うつむいた。
それなのに。
「ねえ、顔上げてよ」
瑞斗さんは私の顎をすくい、持ち上げる。
そこにいたのは、照れたように笑う彼。
「あのさ、僕、紗佳が寝ちゃった後……順番間違えたなって、ずっと後悔してた」
「え?」
思わず目をパチクリさせた。
どういう、こと?
そう思う間にも、彼は目の色を真剣なものに変える。
「僕と、お付き合い、してくれませんか?」